投資の利回り計算に使えるエクセルの関数とテンプレートを紹介

新たに投資を始める場合、利回りは大変重要です。最終的に手に入れることのできる資産のほか、目標金額に必要な利回りや運用期間を求めるためにも、利回りに関するさまざまな計算は自身で行う必要があります。 この記事では、利回りの計算方法や利回り計算に役立つエクセルの活用方法を詳しく紹介します。

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新たに投資を始める場合、利回りは大変重要です。最終的に手に入れることのできる資産のほか、目標金額に必要な利回りや運用期間を求めるためにも、利回りに関するさまざまな計算は自身で行う必要があります。

この記事では、利回りの計算方法や利回り計算に役立つエクセルの活用方法を詳しく紹介します。

必要な利回りが計算できるRRI関数

RRI関数は、目標金額達成のために必要な利回りを計算するためのエクセル関数です。元本と目標金額を設定すると、それを実現するための利回りを知ることができます。

RRI関数を使用する際の計算式は「=RRI(運用年数,投資元本,目標資産額)」です。

運用年数には投資をする期間、投資元本には投資にかける金額、目標資産額には投資終了時の目標金額をセルに入力します。

RRI関数の記入方法

たとえば、現在30歳で1,000万円ある貯蓄を運用し60歳で3000万円にしたい場合の利回りを、RRI関数を使用して計算する場合は、以下の内容をセルへ入力します。

 = RRI ( 30, 10000000, 30000000)

この場合の計算結果は3.73%です。つまり、利回りが3.73%以上であれば目標金額を達成できます。

複利が計算できるFV関数

FV関数は、積立投資によって形成された将来の資産額を計算するための関数です。毎月決まった金額を積み立てて投資した場合の投資成果を求めることができます。

FV関数の計算式は「=FV(月利,運用年数*12,-積立額)」です。

月利は、年利/12を入力しても求めることができます。運用年数には投資する期間、積立額には毎月の積み立て金額を入力します。

FV関数の記入方法

たとえば、年利5%の積み立て投資信託を、毎月1万円ずつ積み立てながら10年間運用する場合を想定し、FV関数を使用して計算します。

=FV(5/12,10*12,-10000)

以上の内容をセルへ入力します。計算結果は1,552,823となり、将来資産額は1,552,823円と分かります。

利息支払い合計額が計算できるCUMIPMT関数

CUMIPMT関数は、不動産投資用ローンを利用する場合に利息支払い合計額が計算できるエクセル関数です。利息支払いの合計額も含めた借入額を、毎月の家賃収入で返済できるか計算するために使います。

CUMIPMT関数の計算式は「=CUMIPMT(利率/12, 返済期間*12, 借入額, 開始期, 終了期,支払期日」です。この計算は利息としての支出を導き出すため、結果はマイナスとなります。

CUMIPMT関数の記入方法

たとえば、返済期間を30年として、年利2.3%で5000万円を金融機関から借り入れた場合を想定し、CUMIPMT関数を使用して計算します。なお、今回はローンの借り入れをして2年目に支払う合計利息額を算出します。

=CUMIPMT(0.023,360,50000000,13,24,0)

以上の内容をセルへ入力します。計算結果は-1110484.743となり、2年目に支払う合計利息額は1,110,484円と分かります。

期間については、月単位での計算です。この計算式に、以下の数値を当てはめます。

利率=2.3%/12
返済年数=(30×12ヶ月=360ヶ月)

開始期=13ヶ月目から

終了期=24ヶ月目

支払期日=支払いのタイミング(0(期末払い)or 1(期首払い))

空室が埋まらない

空室が続いてしまうと、家賃収入を得られません。そのため、利益をあげることが難しくなります。

たとえば、ファミリー層が中心のエリアでは、持ち家率が高く、もともと賃貸ニーズは低い傾向にあります。そのような立地の物件で退去者がでると、なかなか空室が埋まりません。

また、学校や商業施設の移転・閉鎖などで環境が変わり、空室リスクが高まることもあります。

周辺エリアを基にニーズを把握することや、将来的な地域開発の可能性などを考慮して物件を選ぶことが重要です。

内部収益率がわかるIRR関数

IRRは「Internal Rate of Return」の頭文字を取った略称で、不動産投資における内部収益率です。IRRは、投資を継続している間の売上や、売却する際の価格を考慮した上での指標となる数値です。

IRR関数の計算式は、「A0+ A1÷(1+r)¹ + A2÷(1+r)² + A3÷(1+r)³…+ An÷(1+r)ⁿ = 0」です。この方程式を利用することで、IRR(内部収益率)の計算ができます。計算式の”A0”は初期投資、”A1”、"A2"、”A3”…と数字が続いている変数が毎年のキャッシュフロー、Anは売却する際の金額です。

IRR関数の記入方法

たとえば、初期投資が1,000万円で5%の利回り率、キャッシュフローが毎年50万円発生する物件を、10年後に同じ価格で売却する場合を想定し、IRR関数を使用して計算します。

まず下記のように、エクセルに初期投資から10年目までのキャッシュフローの値を記入します。

AB
1初期投資-10,000,000
21年目500,000
32年目500,000
43年目500,000
54年目500,000
65年目500,000
76年目500,000
87年目500,000
98年目500,000
109年目500,000
1110年目10,000,000

表が作成できれば
=IRR(B1:B11)
以上の内容をセルへ入力します。今回は作成した表において金額を記載している範囲がB列1行からB列11行であるため、(B1:B11)と入力しています。

Enterキーを押せば「4.594%」と表示されます。この値がIRRであり、大きいほど収益性が高いと判断できます。

エクセルを用いた利回り計算表のテンプレート

物件選びに失敗しないためには、情報収集は必須です。不動産投資に関する知識や物件選びの方法を学べば、不動産投資の成功率は高まります。

物件の購入を検討する際は、エリアの開発状況や家賃相場など、物件の周辺情報を調べましょう。新駅設置や路線の廃止、学校や病院など公共施設の統廃合などの環境の変化は、入居率や家賃、想定する入居者像に大きな影響をおよぼします。

リスクを考慮した計画を立てる

ここまで、利回りの計算に使えるさまざまなエクセル関数を紹介しましたが、これらの計算をすべて自分で行うと大変です。そのような場合には、エクセルを使用したツールが役立ちます。

さまざまなツールがありますが、そのなかでもおすすめのツールが、IRRによる不動産投資収益計算Excelシート(Lite版)です。このツールの利点は、不動産の取得と同時に、いつ手放すかを検討できる点です。IRRの比較が可能なため、物件を売却する時期を算出できます。入力する項目が多く、詳しい情報が記載された資料が必要ですが、入力した結果はシートの右側に表示され、そのまま確認できます。

注意点として、ローンの条件の変更はできない仕様です。ローンの割合が80%、金利が2%、ローンの返済期間は30年となっていて、この条件は固定です。

しかし自動で35年間の収支や税金を計算してくれるため、35年間のキャッシュフローや、5年後や10年後に不動産を売却した場合のIRRを、同じシート上で確認できる利点があります。

特徴を理解した上で、一度使ってみることをおすすめします。

まとめ

今回は、投資において重要な利回りの計算に使えるエクセルの関数やテンプレートを紹介しました。投資を行う上で、利回りはとても重要です。さまざまな関数があり、それぞれ役割が異なります。そのときに知りたい内容に合わせて、それぞれの関数を使い分けましょう。利回りの計算ができるテンプレートは、今回紹介したツールのほかにも、さまざまなテンプレートがあります。どのテンプレートにも弱点と利点があるため、それぞれの特徴を比較しながら、自分に合ったツールを使ってみるのがおすすめです。