アパート経営に必要な費用はいくら?自己資金の割合も解説!

長期的に安定した収入が期待できる不動産投資は、資産運用手法の1つとして人気です。マンション1室を運用する区分マンション経営と異なり、アパート経営はアパート1棟を運用します。そのため、かかる費用も高額です。この記事では、アパート経営で必要な費用と、アパートローンについても詳しく説明します。

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長期的に安定した収入が期待できる不動産投資は、資産運用手法の1つとして人気です。マンション1室を運用する区分マンション経営と異なり、アパート経営はアパート1棟を運用します。そのため、かかる費用も高額です。この記事では、アパート経営で必要な費用と、アパートローンについても詳しく説明します。

不動産投資におけるアパート経営とは

不動産投資におけるアパート経営とは、アパート1棟を運用することを指します。

不動産投資には、アパート経営とマンション経営があります。マンション経営には、1棟丸ごと運用する1棟マンション経営がありますが、主流は1室から始めることができる区分マンション経営です。区分マンション経営は少ない初期費用でスタートできます。

対して、1棟運用が基本のアパート経営は、費用が高額になる傾向があります。しかし、アパート経営は扱う戸数が多いため、リスク分散が可能です。
例えば、マンション1室のみ所有している場合、入居者がいなければ家賃収入もありません。しかしアパート経営では、たとえ1室入居者がいなくても、違う部屋の家賃でリカバリーできます。このように、アパート経営はリスクを分散して安定的に運用できる不動産投資手法といえます。

アパート経営に必要な初期費用とは

アパートの建設費はいくらかかる?

アパートを新築する場合に初期費用の大部分を占めるのが、アパートの建設費です。建設費は、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など構造によって大きく異なります。

建設費が最も高額な鉄筋コンクリート造は、高層建築によく採用される構造で、アパート建築にはむきません。アパートでは、木造もしくは鉄骨造が主流です。

アパートの建設費は、「坪単価×延べ床面積」で算出できます。木造の坪単価は、40〜70万円が相場です。

ただし、建設費は坪単価や施行を依頼する工務店によって大きく異なります。建設費の算出には、複数の工務店やハウスメーカーから見積もりを取ることが大切です。

土地なしでもアパート経営は可能?

アパート経営は、土地を所有していない人でもスタートできます。

本来は、所有している土地や相続した土地にアパートを建てる方法が一般的です。しかし土地を所有していない人でも、十分アパート経営を行えます。

ただし、費用面を考えると土地を所有している方が圧倒的に有利です。土地なしの人がアパート経営をスタートする場合、初期費用を多めに用意しなければいけません。

土地なしでアパート経営を始める方法は2通りあります。

・土地を購入し、その土地に新しくアパートを建てる
・既存のアパートを土地ごと購入する

既存のアパートを購入する場合、その物件が10年後20年後も入居者が途切れない優良物件かどうか、しっかり見極めることが大切です。

物件費用以外にかかる諸費用

アパート本体以外にかかる諸費用に下記があります。

・不動産登記費用
・不動産取得税
・印紙代
・火災保険や地震保険など各種保険料
・ローン手数料 など

もし既に建っている建物を取り壊してアパートを建設する場合には、別途解体費が必要です。他にも、建設中に新しく工事を追加しなくてはいけない場合もあるでしょう。そのような時のために、予備費として物件価格の5%程度を用意します。たとえば物件価格6,000万円のアパートの場合、予備費は300万円です。

アパート経営は、資金面に余裕のある状態でスタートすることが鉄則です。

アパート経営をスタートしてからも運転資金が必要

アパート経営は入居者が入居してからも、毎月の資金が必要です。ただし、初期投資に比べると、運転資金にかかる金額はわずかです。一般的に入居率が80%を超える優良物件であれば、家賃収入でローン返済や諸費用の支払いをまかなうことができます。

ただし、築年から時間が経てば修繕費や修理費の割合が増えると予想されます。

将来も見据えた収支シミュレーションを事前にしっかり行うことが大切です。

アパート経営の必要資金はどのように調達する?

アパートローンを組む方法が一般的

アパート経営において、アパートローンは不可欠です。自己資金が潤沢にあったとしても、アパートローンを組む人が大半です。下記でアパートローンについて詳しく解説します。

アパートローンとは不動産経営者向けのローンのこと

アパートローンとは、不動産投資を行う人が金融機関に依頼する融資です。住居購入の際に組む住宅ローンと、融資の判断基準が異なります。住宅ローンは、債務者の返済能力や信用度が重要です。アパートローンは、物件の収益性や資産性も判断基準に加わります。住宅ローンに比べ金利が高くなります。さらに建物の耐用年数によって返済期間が設定されている点も住宅ローンと異なる特徴です。

アパートローンの融資限度額は?

一般的なサラリーマンの融資限度額は、年収の7〜10倍といわれています。
アパートローンを利用する際は、ある程度まとまった現金とローンを組み合わせる方法が一般的です。割合としては、ローン8割前後、頭金2割前後が相場といわれています。頭金を多めに支払うと、後々のローン返済が楽になります。しかし、手元に現金が残っていないと、空室が続いた時や急に修繕が必要になった場合に対応できません。
現金とローンの割合は、収支シミュレーションを綿密に行ったうえで決定しましょう。

自己負担金ゼロのフルローンでも始めることができる?

不動産投資物件費用を100%ローンでまかなう、フルローンという方法があります。手元にあまり現金がない人でもアパート経営をスタートできますが、デメリットもあります。

フルローンのメリット

フルローンの最も大きなメリットは、自己負担金を少なくできる点です。手元に少しでも多くの資金を残すことができれば、空室が続いたり急な修繕が必要になったりという場合も余裕を持って対応できます。

また、フルローンを利用することでレバレッジ効果を最大化できる点も魅力です。レバレッジとは「てこの原理」を意味し、レバレッジ効果とは「小さな力で大きな結果を生み出す」ことです。不動産投資においては「少ない自己資金で大きな利益を得る」状態を指します。そもそも資金が十分にある人もアパートローンを利用する理由は、レバレッジ効果を高めるためです。

アパートローンを利用することで、本来自己資金のみでは購入できない物件を運用し、家賃収入という大きな利益を得ることができます。さらにフルローンでは、少ない資金で高額な不動産運用が可能となり、収益性が高まります。

ただし、フルローンとはいっても物件購入費用のほかに、不動産取得税や仲介手数料など諸費用が必要です。持ち出すお金がまったくのゼロでアパート経営はスタートできません。

フルローンのデメリット

フルローンの最大のデメリットは、月々の返済額負担が重い点です。

フルローンは借入金が高額になるため、利息が増え、月々の返済額負担も重くなりがちです。家賃収入が順調だったとしても、返済額が大きいため、手元に入ってくる利益は少なくなります。修繕費がかさむ月では、赤字になる可能性もあります。

さらに、空室が続くとローン返済が滞るため、最悪の場合、物件を手放さなければなりません。

また、フルローンを組んでいると借入額が高額のため、金融機関の審査が厳しくなります。将来ローンの借り換えや、何らかの事情で追加融資が必要な時、審査に通らない可能性があります。

経営者向けの補助金を利用する

アパート経営で自己負担金をできる限り軽くしたい場合、補助金の有無をチェックしましょう。

アパート建築で受けることができる代表的な補助金に「長期優良住宅の補助金」があります。劣化対策や耐震性など、ある一定の条件を満たした物件が、長期優良住宅と国に認定されます。長年快適に過ごすことができると認定された物件に出る補助金が「長期優良住宅の補助金」です。ただし認定を受けるには、さまざまな条件をクリアする必要があります。

また、新築でアパートを建設する場合「地域型住宅グリーン化事業」を適用すると、最大140万円の補助金を受け取ることが可能です。

さらに自治体によっては独自の補助金制度を実施しています。
自己負担金を軽くしたい場合、補助金の利用を考えることも1つの方法です。

参考:国土交通省『住宅:長期優良住宅のページ
参考:3省連携事業『ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス推進に向けた取り組み

自己資金を減額できるケースもある

補助金や助成金を利用する以外にも、自己資金を減額できる方法はあります。1つが、所持している不動産を担保にする「不動産担保ローン」を利用する方法です。持ち家や土地、他の投資用物件など、借入額相応の価値がある不動産を担保にすると、金融機関は貸し倒れのリスクを最小限に防げます。そのため、一般的な融資より低金利で融資を受けられる確率が高まります。

まとめ

アパート経営を始めるにあたり、もっとも気になるポイントは資金面です。

アパート経営には、高額な物件費用のほかにも、税金関連や保険料などさまざまな費用がかかります。自己資金のみでまかなうことは難しいため、多くの人がアパートローンを利用します。アパートローンの注意点や自己負担金の減額方法を知って、賢くアパート経営を始めましょう。