不動産投資の失敗事例とその原因について

不動産投資は、株やFXとは違い時間を拘束されない点や、不労所得収入の魅力から、よく調べずにチャレンジする人も少なくありません。しかし、きちんと知識を持って投資を始めなければ、失敗につながりやすい投資手法でもあります。 今回は、不動産投資の失敗実例と、その原因について解説します。

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不動産投資は、株やFXとは違い時間を拘束されない点や、不労所得収入の魅力から、よく調べずにチャレンジする人も少なくありません。しかし、きちんと知識を持って投資を始めなければ、失敗につながりやすい投資手法でもあります。今回は、不動産投資の失敗実例と、その原因について解説します。

不動産投資での「失敗」とは何を指すのか?

不動産投資における「失敗」とは、不動産投資を行う目的が狙い通りに達成しないことを指します。

例えば、サラリーマンが副収入を得るためにローンを利用して不動産投資を始めた場合、毎月の家賃収入がローン返済額を下回ってしまうと、副収入を得るどころか支出が増えてしまうため、失敗といえます。

しかし、上記のような場合でも、副収入ではなく老後の資産形成が投資目的であった場合は、ローン返済中は赤字であっても完済後の収入を確保できるため、失敗とは言い切れません。

このように、不動産投資の目的は多種多様にありますが、目的が達成できなければ失敗に終わってしまいます。失敗しないためには、目的が達成できるかを基準として、投資対象物件・投資計画・運用方針などを決めなければなりません。

不動産投資の事例6選

では、実際にどのような不動産投資の事例があるか、具体例を見ていきましょう。

事例①新築ワンルームマンションを購入したAさん

■購入物件:新築のワンルーム9室

Aさんは、会社員です。物件の購入は、副収入を得るためでした。
収入シミュレーションによると毎月1万円の黒字になる予定であったため、まずは1部屋購入しました。その後、「老後の資金をもっと増やすため、部屋数を増やしましょう」と不動産業者からアドバイスされ、部屋数を9部屋まで増やしました。

しかし、新築から月日が経つごとに家賃はどんどん下がってしまい赤字運用に。
Aさんは、毎月何万円も赤字を負担し続けています。

Aさんが不動産投資で失敗した原因

Aさんは、家賃の下落などリスク部分の想定ができていなかった点が失敗の原因です。
家賃は、空室が続いた場合や築年数が古くなったことによる経年劣化、周辺環境の変化などを原因として下落することがあります。

投資始める前に、家賃の下落などリスクを踏まえた慎重なシミュレーションを行ったうえで、月々のキャッシュフローが黒字になるような計画をたてることが大切です。

事例②中古ワンルームマンションを購入したBさん

■購入物件:築15年の中古ワンルームマンション

Bさんは会社員をしながら、副収入を得るために中古のワンルームマンションを購入しました。
仲介の不動産業者からは、利回り7%で毎月約10万円の収入が期待できると説明されました。

家賃収入はありましたが、ローンの返済・管理費・修繕積立金・固定資産税などの税金に加えて、中古物件のため修繕費がかさみ、キャッシュフローはほとんどありません。

さらに、退去後に部屋の原状回復を行うと、何十万円もの赤字になります。赤字状態からの脱却を図るため、中古のマンション1棟を購入しようとしましたが、資金が足りず融資は通りませんでした。
Bさんは、赤字のまま物件を売却することになりました。

Bさんが不動産投資で失敗した原因

Bさんが失敗した原因は、キャッシュフローのシミュレーションの甘さによるものです。
実際、その物件を運用した時にどれほどの支出があるか詳しく計算せず、「家賃収入が入る」という収入面だけをみて安心してしまったことが、今回の失敗につながりました。

不動産投資では「収支」が重要です。支出を踏まえた「実質利回り」を意識しましょう。

事例③物件の周囲環境が大きく変化したCさん

Cさんは、50代の投資家です。
購入した物件は、私立大学から少し離れたところに立つ物件で、防犯面に優れていました。
東京圏でしたが郊外だったため、家賃6万円台で利回り8%が期待できました。数年の間、計画通り家賃収入を得ることができます。

しかし、私立大学のキャンパス移転が決定。学生がその物件に住むメリットがなくなりました。
また、入居のタイミングをうまく調整できず、空室が1年近く続くことも。
最後は、購入時の三分の一以下の値段で売却してしまいました。

Cさんが不動産投資で失敗した原因

Cさんが失敗した原因は、その物件の価格や利回りだけで判断した点です。
家賃需要を見誤り、その物件の立地や入居時期を考慮できなかった点が大きな失敗でした。

事例④競売物件を購入したDさん

■購入物件:築25年の2DKマンションを区分所有(約2,000万円)

Dさんは、もともとアパートを一棟所有しており、不動産投資を行なっていました。
都心のマンション投資を安く手に入れるため、着目した物件が「競売物件」です。
その周辺で同じ規模のマンションの一室が2,800万円程度だったため、かなり安く買うことができました。

しかし、実際に物件に行ってみると、もともとの居住者の残留物や長年の汚れでひどい状態でした。
賃貸として貸し出すために、壁紙の張り替えや設備のフルリフォームを行い合計500万円かかりました。前の所有者が滞納していた管理費も支払い、競売物件で安く買ったはずが同じくらいの出費です。
その後も修繕費がかさんだため、Dさんは管理することも嫌になり、その物件を手放したそうです。

Dさんが不動産投資で失敗した原因

Dさんは、その物件の情報をよく調べるべきでした。
競売物件は、知ることができる情報が限られています。物件明細書・現況調査報告書・評価書を細かく読み、不安な場合は入札しないようにしましょう。

目先の売却価格や、利回りだけを見て購入したことが失敗の原因です。
競売物件は、リフォーム費用なども含めて資金を準備するようにしましょう。

事例⑤利回りだけを見て物件を購入したEさん

■購入物件:築8年のワンルームマンションを区分所有(1,000万円)

月々の家賃収入65,000円、利回り7.8%のワンルームマンションを購入したEさん。
うまく家賃収入があった時期は、最初の半年だけでした。

その後、空室となってしまいます。引越しの閑散期だったため、7か月部屋が空いてしまいました。
利回りが2.6%に下がり、自分の給与をローン返済に充てることになりました。

Eさんが不動産投資で失敗した原因

Eさんは、ワンルームマンションの稼働率についてよく考える必要がありました。
稼働率が下がると、その分自身の負担額が増えます。
Eさんは利回りや初期費用だけを重視するのではなく、家賃収入の変動のシミュレーションが必要でした。

事例⑥アパート一棟を購入したFさん

■購入物件内容:アパート一棟

アパート一棟を保有し、賃貸管理や家賃管理を自身で行っていたFさん。そのアパートには、さまざまな人が入居していました。しかし、突然一人の入居者が失踪してしまい、連絡を取ることもできなくなってしまいました。そのため、家賃や原状回復費用を請求することもできず、Fさんが負担することになったそうです。

Fさんが不動産投資で失敗した原因

所有者に非がないケースもあります。住人と連絡が取れなくなり、費用を回収できなくなるケースや、物件内で不幸なことが起きて事故物件になってしまうケースです。
これは、いつどの物件に起こるか想像できません。突然の家賃トラブルに備えるために家賃保証会社を利用し、万が一に備えて、資金面などの対策も必要です。

不動産投資で失敗しがちな人

ここからは、不動産投資で失敗しやすい人の特徴を解説します。

不動産投資についての知識不足

不動産投資に知識がないからといって、不動産会社に丸投げしていてはいけません。
書籍やインターネット、セミナーなどを通して、自分の学びを深めることが大切です。

知識がないと、優良物件の見分けがつかないことにより不利益を被る可能性があります。専門家や知り合いに頼り切るのではなく、自分の知識を高めるようにしてください。
自分の知識を深めれば、自分で納得したうえで物件購入できるため、より良い運用が行えるでしょう。そのため、売却時期やリスク対策など、オーナーとしての判断ができるよう知識を身に付けましょう。

長期的な計画を立てていない

不動産投資は必ず長期的に計画を立てる必要があります。
収入のことだけを考えるのではなく、税金関係・メンテナンス・管理費用といった支出面もシミュレーションして費用を備えておくことが大切です。突発的に出費がある可能性もあります。
できるだけ細かい計画をたてて、不動産投資を行う必要があります。

まとめ

今回は、失敗しやすい不動産投資の実例や、失敗しやすい人の特徴を紹介しました。
不動産投資をこれから始める人は、長期の具体的な計画を立てて行うことがおすすめです。ぜひ参考にしてください。