資産形成の方法として関心の高い株式投資と不動産投資ですが、この2つには、大きな違いがあります。両者の特徴をよく理解したうえで投資方法を選んだほうが安全です。 ここでは株式投資と比較した不動産投資のメリット・デメリットから、それぞれの投資の特徴を紹介します。
株式投資と比較した不動産投資のメリット
2010年代初頭、日経平均は1万円を下回っていましたが、アベノミクスなどにより大きく値上がり。2万円台を回復し、2020年後半には29年ぶりの高値を更新しました。また不動産価格も東京五輪が決定した2013年ごろから上昇の一途を辿り、高止まりしている状況。このような背景から、株式投資や不動産投資の人気は会社員にも広がりました。 昨今、注目されている2つの投資手法ですが、どのような違いがあるのでしょうか。まずは株式投資と比べた際の不動産投資のメリットを見ていきます。
長期に安定した収益が期待できる
ワンルーム投資の場合、マンションの1室を貸し出し、家賃収入を得ます。ワンルーム投資は、賃貸需要の高い都心などの物件なら、長期にわたって安定した収益が期待できる投資方法です。株式投資は企業の業績などに配当が左右され、収益増減の波が大きい投資です。収益の安定性の面では不動産投資の方が有利であるといえます。
融資を受けることができる
不動産投資は、株式投資と違い、ローンを活用して始めることが多いです。物件を担保にローンを活用することができるため、自己資金の数倍の物件に投資をすることができます。
給与所得などと損益通算できる
減価償却費などで、不動産投資の収益がマイナスになった場合、赤字額を本業の給与から差し引く「損益通算」ができる可能性があり、所得税と住民税を節税できます。株式投資は売却損失があったとき、配当などに限り損益通算できるだけです。本業の給与を節税できるのは、不動産投資の大きなメリットになっています。
手間がかからない
保有物件の管理・運用を管理会社に委託すれば手間はほとんどかからず、投資家は家賃の振り込みを確認すればいいだけです。株式投資は投資家が、企業動向や市場をこまめにチェックする必要があり、2つの投資にかかる手間は大きく異なっています。
値動きがゆるやかで予想しやすい
株式投資は値動きが激しく、非常に予想が立てにくい投資方法です。短期間で株価が下落することも珍しくありません。株式投資で安定した収益を得るためには、こまめに企業分析や市場調査などを行うことが求められます。 一方で、不動産投資は株式投資と比べて値動きが緩やかなため、こまめに分析や市場調査を行う必要はなく、投資にかかる手間が少なくてすみます。
価値が下がりにくい
株式は企業の倒産や上場廃止などで、価値がゼロになる可能性がありますが、不動産は現物資産のため、価値がゼロになることは考えにくいでしょう。価値が下がったとしても、売却して現金化できる点は不動産投資の大きなメリットです。
株式投資と比較した不動産投資のデメリット
さまざまなメリットがある不動産投資ですが、投資である以上、リスクもあります。株式投資とくらべて不動産投資にはどのようなデメリットがあるか、見ていきましょう。
投資を始めるまでに時間がかかる
株式投資では、口座開設から取引開始までオンラインで手続きできる証券会社が大半で、売買成立から決済まで最短2営業日です。 しかし、対面手続きが残る不動産投資では、売買契約から決済、名義変更の登記が終わるまで、1ヵ月前後は見ておかなければなりません。
分散投資には大きな資金が必要
分散投資は投資対象を複数に分け、1つの投資先の収益が下がっても投資全体の損失が最小限で済むようにするリスク回避策です。不動産投資で複数物件に投資するには、大きな資金が必要です。一方、株式投資は1つの投資額が比較的少額なことが多いため、不動産投資より少ない資金で分散投資が可能です。
短期で大きく儲けることは難しい
家賃収入で資産を築くことを目指す場合、長期的な運用が前提になるので、短期で大きな収益を手にするのは難しいでしょう。株式投資は短期で株価が急上昇する銘柄を予測し、安価なうちに購入できれば大きな利益をつかむことができます。
まとめ
株式投資と不動産投資では、メリット・デメリットが大きく異なります。中でも不動産投資の収益安定性や融資が使えること、管理会社に物件を委託できる点などは投資初心者や本業を持つ会社員や公務員にとって大きなメリットでしょう。 株式投資は短期で大きな収益を得られる可能性はありますが、投資に割ける時間、そして多くの経験や知識が必要です。2つの違いをしっかり理解して選ぶことが、資産形成を成功に導く秘訣といえそうです。