投資信託に潜むリスク…投資する前に理解しておきたい基本的な仕組みとは

老後2,000万円問題に端を発した老後不安などから、不動産投資で資産形成を目指す会社員が増えています。しかし深く考えずにはじめた結果、大きな損失を被るケースも見られます。本記事では、不動産投資で失敗する会社員に共通する5つの特徴を解説します。

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投資信託は、複数の投資家から集めた資金を基に運用する「ファンド」の一種で、投資家から集めた資金を、専門家が株式や債券などに投資する金融商品です。現在では一般的にファンド=投資信託と認識されており、投資信託の商品名に「ファンド」とつくものが多くあります。また、投資信託自体を説明するときには「投資信託」、投資信託の特定商品を指すときには「ファンド」と使い分けられることもよく見られます。投資信託には少額から投資できる、自分で運用する手間が省けるといったメリットがある一方で、さまざまな理由で損失を被ってしまうリスクもあります。本記事では、投資信託の代表的なリスクや投資信託にかかる費用について、詳しく解説します。

投資信託の代表的な5つのリスク

投資信託は、成功すれば大きなリターンが出ることもある一方で、損失が出るリスクも存在します。投資の種類によってリスクの程度は異なりますが、「絶対に損失が出ない」という金融商品はありません。

投資信託の代表的なリスクとして、以下の5つが挙げられます。

①価格変動リスク
②金利変動リスク
③為替変動リスク
④信用リスク
⑤カントリーリスク

それぞれのリスクについて詳しく解説します。

①価格変動リスク

価格変動リスクとは、投資した株式や債券の価格が変動するリスクです。株式や債券の価格は常に一定というわけではなく、企業の業績やその国の政治および経済情勢の影響を受けて変動します。

価格が高くなれば利益が生じますが、投資額よりも価値が下がる「元本割れ」が起きると、損失が生じてしまいます。このように、企業や国の影響によって株式や債券の価格が投資額よりも低くなることが、価格変動のリスクにあたります。

②金利変動リスク

金利変動リスクとは、金利が変動することで債券価格が変動して、損失が発生するリスクのことです。金利が上がると所持している低金利の債券を売却し、より有利な投資をしようと多くの人が考えます。そうすると、これまで発行された債券の需要が下がり、価格も下落します。逆に、金利が下がるとこれまで発行された債券の需要が増すため、債券価格は上昇します。そのため、満期までの期間が長い債券ほど金利変動の機会が増えることから、リスクが高くなります。

このように、金利の変動によって債権価格に影響が出るリスクが「金利変動リスク」です。投資のうち、債券に投資する場合に生じます。

③為替変動リスク

為替変動リスクとは、為替レートが変動するリスクのことです。外国の株式や債券へ投資した場合に生じます。

為替レートは、株価と同様に常に一定ではなく、世界情勢や金利などさまざまな影響を受けて変動します。基本的には、円高になれば基準価格が下落して、円安になれば基準価格が高くなります。

なお、投資信託では為替変動リスクを低減させるファンドも存在するため、自身のリスク許容度に応じてファンドを選定するとよいでしょう。

④信用リスク

信用リスクとは、利息や償還金を規定の条件通りに支払えなくなるリスクのことです。「デフォルトリスク」と呼ばれることもあります。

国や企業は、財政難や経営不振に陥ることがあります。これが深刻化した場合、国や企業は利息、償還金を支払うための費用を捻出できず、投資家は支払いを受けられなくなる可能性があります。これが「信用リスク」です。なお、償還金とは投資信託の期間満了時に返還される資金のことです。

⑤カントリーリスク

カントリーリスクとは、投資した国や地域の政治、経済情勢に影響を受けるリスクのことです。投資した国や地域で政治や経済情勢に大きな動きがあった場合、株式や債券の価格が大きく変動することで投資しているファンドが影響を受けます。

また、カントリーリスクは政治や経済情勢だけではなく、地震や津波などの自然災害、紛争やテロの発生などの影響を受けることもあります。

とくに、海外に投資する場合は財政状況や自然災害の発生などの情報の入手が遅れるため、カントリーリスクを受けるリスクが高まります。

リスクを回避してリターンを高める方法とは?

前述したさまざまなリスクを回避するために有効な方法が「分散投資」です。

分散投資とは、複数の金融商品に投資する投資方法のことです。もしも、ひとつの金融商品のみに集中投資をすると、その商品に損失が生じた場合、大打撃を受けかねません。

異なる金融商品に分けて投資することで、万が一いずれかの商品に損失が生じても、他の商品のリターンで損失を補填できるようになります。

ただし、分散投資する際は、似た商品ばかりに投資することは避けましょう。異なる金融商品や銘柄に分散投資することで、損失を被るリスクを低減できます。

投資信託にかかる費用はどれくらい?

投資信託は複数の投資家からお金を集めて、全体の資金を大きくして運用します。そのため、少ない資金で投資を始められます。

では、投資信託にはどれくらいの資金が必要なのでしょうか。ここからは、投資信託にかかる費用について詳しく解説します。

購入・解約する際の手数料

投資信託では、さまざまな手数料が発生します。代表的なものとして、「販売手数料」と「信託財産留保額」が挙げられます。

販売手数料とは、金融商品を購入する際にかかる手数料のことで、購入手数料と呼ばれることもあります。販売手数料は申込金の数%が一般的ですが、具体的な費用は企業によって異なります。

信託財産留保額とは、換金または解約した際にかかる手数料のことです。費用の相場は、投資信託の基準額の0.2〜0.3%が相場と言われています。ただし、各企業によって異なるため、販売手数料と同様に、事前に確認しておくことが必要です。

運用と管理にかかる信託報酬

投資信託を保有している期間は、ファンドに対して手数料がかかります。これを「信託報酬」といいます。

信託報酬とは、投資家に代わり資産を運用するファンドに支払う手数料のことで、「資産運用管理費用」と呼ばれることもあります。

信託報酬の費用は年率で表されることがほとんどですが、運用手法に違いがあることから、一概にはいえません。信託報酬は継続的に支払いが発生するため、運用期間や運用手法を踏まえてファンドを選ぶことが重要です。

手数料のかからない商品で費用を抑える

ここまでご紹介した通り、投資信託はさまざまな手数料がかかるほか、投資信託の購入額が高くなるほど手数料の負担も大きくなります。

しかし、投資信託には手数料のかからない「ノーロード商品」と呼ばれる商品も存在します。同じ商品でも手数料はファンドによって異なるため、ノーロード商品を取り扱っているかどうか事前に確認しておくことをおすすめします。

リスクだけではない!投資信託の魅力

投資信託には損失が発生するリスクがあること、継続的に手数料を支払うことなど、デメリットについて解説してきました。

不安要素が大きいように感じられる投資信託ですが、投資信託ならではのメリットも存在します。メリットとデメリットの双方を踏まえたうえで、ご自身に適している投資方法か判断してみてください。

自分で運用する必要がない

投資信託の大きなメリットは、自分で運用する必要がないことです。

通常の株式投資の場合、自ら投資する銘柄を選び購入。その後も価格の変動を常にチェックしながら運用を続けなければなりません。

投資信託であれば、商品の購入後は運用をプロに任せられるため、手間と労力がかかりません。また、専門知識のあるプロに運用をすべて任せるため、初心者の方でも安心して始められるといったメリットもあります。
このように、投資に興味はあるものの自ら運用する自信がない方や、具体的な運用方法に詳しくない投資未経験の人でも始めやすいことが、投資信託の魅力です。

少額からでも始められる

他の金融商品への投資と比べて、少額から始められることも投資信託のメリットです。

株式投資の場合、通常100株=1単元という売買単位が定められています。たとえば1株当たり1,000円の株式に投資する場合、[1,000円×100株=10万円]とまとまった資金が必要です。

ところが投資信託では、複数の投資家から資金を募ってひとつの金融商品を購入するため、数千円から投資可能な商品も数多く存在します。

「最初から高額な資金を投資に使うのは心配……」という人も、投資信託であれば安心です。万が一損失が出た場合でも、少額投資であれば大きな損失を被ることもありません。

まとめ

投資信託には、価格変動や金利変動、為替変動などさまざまなリスクがあります。無理のない資金の範囲で投資するとともに、分散投資でリスクを低減させることが重要です。

また、投資信託では資産運用のプロに運用を任せられ、少額から投資できるため、初心者の方でも始めやすいことが魅力です。メリット・デメリットを把握したうえで、目的や資金額に合わせて投資方法を検討しましょう。