資産運用を考える際は、一定期間内の資金の流れを意味する「キャッシュフロー」という概念を把握しておくことが大切です。人生100年時代といわれる今、考えておきたい不動産投資のキャッシュフローシミュレーションや、計算の仕方についてご紹介します。
人生100年時代の、不動産投資のキャッシュフローシミュレーション
人生100年時代といわれる今、公的年金だけで老後の生活を支えるのは難しいと考えられています。そのため、将来に備えて、何かしらの資産運用を検討している方も多いのではないでしょうか。
資産運用を考える際は、「キャッシュフロー」という概念を把握しておくことが大切です。不動産投資は、ほかの投資方法に比べて収支予想が立てやすく、キャッシュフローシミュレーションを行うことで、リスクを抑えることができます。
ここでは、不動産投資を始める前に知っておきたい、キャッシュフローの計算の仕方や、キャッシュフローシミュレーションについてご紹介します。
所有する資産がどのようなキャッシュフローを生み出すか?
キャッシュフローとは、一定期間内の資金の流れを意味する言葉です。ここでは、投資物件などお金の流れを生む、キャッシュフローがプラスになるものを「資産」と呼び、利息を支払わなくてはいけないものや借金など、キャッシュフローがマイナスになるものを「負債」と呼びます。
まずは、マイカーや株式投資などがどのようなキャッシュフローを生み出すのか見ていきましょう。
マイカー
マイカーを購入するときは、車両本体の価格だけでなく、保険料や税金、車検代などさまざまな維持費がかかることを想定しておく必要があります。マイカーは、所有するだけでマイナスのキャッシュフローを生むため、負債と考えられます。
しかし、購入した車を使って事業を行い、利益を上げることで、キャッシュフローはプラスに変化します。このように、使い方次第で、負債が資産に変わる場合もあります。
マイホーム
マイホームもマイカーと同じく、土地と建物を所有しているだけでは、負債を生みます。しかし、家を貸し出したり、空いた土地を駐車場などにして貸したりすることで、キャッシュフローがプラスに変わることもあります。
株式投資
株式投資とは、企業が事業の資金集めのために発行した株を購入して、投資することをいいます。株式投資でキャッシュフローがプラスになるケースとして、次の3つが挙げられます。
1つ目は、株価が値上がりした際に、購入時と売却時の差額で利益を得るケースです。この場合、差額が大きければ大きいほど、キャッシュフローはプラスになります。2つ目は、株式投資へのお礼として、株主優待券やギフトを受け取るケースです。
3つ目は、年に1、2回、所有している株式の数と企業の利益によって配当金を受け取るケースです。株式投資では、企業が利益を生むことができる状態でなければ、配当金を得ることはできません。
不動産投資
不動産投資では「購入した不動産を貸し出して家賃収入を得る」「不動産を売却して利益を得る」という、2つのキャッシュフローの流れがあります。不動産投資は地価が下落しても、家賃収入が得られていれば、株式投資ほど大きなリスクを被ることはありません。
また、不動産投資で得た利益を、さらに別の不動産に投資することで、効率良く資産を運用することができます。
不動産投資のキャッシュフローシミュレーション
不動産投資のキャッシュフローは、物件の購入価格や金利、ローン契約年数、税金などを基に算出します。さまざまな計算式がありますが、以下の算出方法が、実際の手残りの金額に最も近いといえます。
<キャッシュフローの算出方法>
キャッシュフロー=1年間の家賃収入-(銀行返済額+固定資産税+都市計画税+管理費+空室家賃)
ここからは、2,720万円の新築マンションを、頭金10万円、金利1.75%、35年固定の住宅ローンで購入した場合を例に、生涯のキャッシュフローシミュレーションについて見ていきましょう。なお、マンション購入後、家賃収入は途絶えないものとします。
<毎月の費用>
家賃収入(A) |
94,000円(2年ごとの更新が行われれば家賃の50%が収入) |
ローン返済額(B) |
86,334円 |
管理費(C) |
6,390円 |
修繕積立金(D) |
1,340円(6年目、13年目、20年目でアップ) |
賃貸管理手数料(E) |
4,061円 |
月々収支(A-B-C-D-E) |
-4,125円 |
35年収支合計 |
-400万5,380円 |
※35年収支合計はシーラ運用物件の平均データを参考に試算。
キャッシュフローをシミュレーションする際には、不動産所得税や固定資産税、経年劣化を見込んだ設備費などの諸経費も計算に入れておく必要があります。
<諸経費試算>
不動産所得税(1年目のみ) |
20万円 |
固定資産税(2年目以降毎年) |
60,000円 |
経年劣化による設備交換費 |
エアコン交換(13年ごと) |
60,000円(35年で2回) |
給湯器交換(18年ごと) |
10万円(35年で1回) |
換気扇交換(12年ごと) |
20,000円(35年で2回) |
損害保険料(10年更新) |
55,580円(初年度を含み35年で3回) |
35年諸経費合計 |
266万6,740円 |
※シーラ運用物件の平均データを参考に試算。
※初年度、別途初期費用が発生する場合がある。
購入したマンションを定額法(47年の均等割)で減価償却していくことで、帳簿上の不動産収支がマイナスになり、所得税の還付を受けたり、住民税を軽減したりする節税効果が得られます。新築物件の場合、節税効果は15年程度継続します。
<年次節税効果表>
1年目 |
35万3,887円 |
2年目 |
83,557円 |
3年目 |
67,653円 |
4年目 |
79,921円 |
5年目 |
78,057円 |
6年目 |
83,244円 |
7年目 |
67,218円 |
8年目 |
79,360円 |
9年目 |
77,370円 |
10年目 |
75,346円 |
11年目 |
58,875円 |
12年目 |
70,884円 |
13年目 |
85,642円 |
14年目 |
83,480円 |
15年目 |
60,494円 |
合計 |
140万4,988円 |
※監修:弁護士法人ADVANCE 砂田和也税理士
※当該資料の概算について、全てのオーナー様に該当するわけではありません。
<生涯のキャッシュフロー>
・35歳から69歳までの35年間
基本収支(A) |
-400万5,380円 |
諸経費(B) |
266万6,740円 |
節税効果(C) |
140万4,988円 |
合計(A-B+C) |
-526万7,132円 |
・70歳から89歳までの20年間
基本収支(A) |
1,715万7,360円 |
諸経費(B) |
167万1,160円 |
合計(A-B) |
1,548万6,200円 |
※シーラ運用物件の平均データを参考に試算。
上の表からもわかるとおり、35年間のローン返済期間は、キャッシュフローが約527万円のマイナスになります。しかし、70歳以降はローンの返済がなくなるため、月々の基本収支はプラスになります。その結果、89歳までの20年間で、約1,549万円の資産が生まれるのです。
不動産投資におけるキャッシュフローについて正しく理解しよう
物件購入前にシミュレーションを行い、不動産投資におけるキャッシュフローについて正しく理解することで、不動産投資を成功させることができます。この記事では、1室のみの所有を想定してシミュレーションを行いましたが、複数の物件を運用し、節税効果を活用することで、生涯のキャッシュフローのプラス幅をさらに広げることができます。
シーラでは、オーナー様のご要望に応じて、キャッシュフローのシミュレーションをご提示しています。生涯のキャッシュフローが気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。