安心して不動産投資を始めるためにも、その方法と契約の流れを把握しておくことは重要です。そこで、投資金額を設定するポイントをはじめ、投資の方法や契約の流れなど、知っておきたい情報をご紹介します。
不動産投資の方法と契約の流れ
購入したマンションや戸建てなどを賃貸物件として貸し出し、家賃収入を得る不動産投資。将来や資産運用のために始めたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
不動産投資を始めたい人のために、投資の方法や契約の流れなど、知っておきたい情報をご紹介します。
不動産投資を始めるまでの流れ
不動産投資を始めるためには、用意できる自己資金や、想定している投資金額でどのような物件が買えるのかなど、具体的に考えておかなくてはならないことがあります。
そこで、まずは不動産投資を始めるまでの流れを見ていきましょう。
1. 投資金額と条件の設定
初めに考えておきたいのは、「不動産投資に使える金額」と「家賃収入をいつから、いくら得たいのか」という条件になります。なぜなら、家賃収入として得たい金額と実際に利益の出る時期を想定して、投資金額を考える必要があるからです。
家賃収入を多く求めるためには、良い物件を選ぶ必要があります。すると、必然的に投資金額も増えるのです。少ない投資金額で大きな利益を得ようとすると、リスクの大きな投資となるためご注意ください。また、実際に自分がいくらの融資を受けられるのかを確認してから、投資額と目標の所得額を決めるといいでしょう。
次に、投資金額や得たい家賃収入を基に、購入したい物件の地域や価格帯、条件を分析します。地域を決める際には、どんなニーズがあるかを調査することが大切です。家族世帯が多いのであれば部屋数の多いマンション、ワンルームマンション投資をするのであれば単身者が多い地域を選びましょう。また、投資金額と家賃の価格帯が見合っているかも重要なポイントとなります。
2. 物件分析
地域や価格帯、条件が決まったら、不動産会社やインターネットで物件を探します。該当する物件が見つかったら、不動産会社に物件情報を問い合わせ、その情報を基に、どのくらいの収益が得られる物件なのか、将来的にどのくらいの価値があるのかなどを分析します。
この際、修繕履歴やリフォーム状況、空室状況なども、分析に活かせる情報となりますのでチェックしておきましょう。また、周辺環境や建物の状態、他の入居者の様子なども、実際に確認しておくことが大切です。
3. 買付申込み・条件交渉
購入したい物件が決まったら、買付申込書を不動産会社へ提出します。買付申込書を提出後、不動産会社を介して、売主と価格交渉などの条件交渉を行います。
4. 売買契約
条件交渉が終わったら、売主より「売渡承諾書」をもらいます。売渡承諾書は、金融機関から融資を受ける金額を証明するために必要となりますが、譲渡を約束するものではありません。不動産会社で宅地建物取引主任者から重要事項説明を受け、売買契約書を交わして、手付金を納めてから、売買契約が成立となります。
売買契約が成立後、現地で登記済権利証や鍵の引き渡しが行われます。
5. 家賃収入の発生と不動産経営
引き渡し完了後、正式に物件の所有者となります。すでに入居者がいる場合には、所有者や家賃の振込先変更を知らせる通知を行う必要があります。しかし、管理会社が賃料の収受を行っている場合には、振込先変更の必要はありません。
実際に不動産経営を行う上で、清掃やリフォームなどを行って家賃が下がらないように保つことや、空室が出ないように努力することなどが必要となります。また、管理費用や清掃費用などの運営費の見直しも、コストダウンを図る上で重要です。
6. 出口戦略の設定
不動産投資は経営を始めたら終わりではなく、最終的にこの物件をどうするかも考えておかなくてはなりません。この先、物件を建て替えたり更地にしたり、売ったり相続したりと、将来的なプランを考えることを「出口戦略」といいます。これは、不動産投資を始めてから考えるのではなく、物件を探す段階から頭に入れておく必要があります。
購入の意思を示す買付申込書
買付申込書は、購入したい物件が決まった際に、不動産会社を介して売主に提出するもので、「購入申込書」とも呼ばれます。また、買付申込みについても、「売買予約」と呼ぶ不動産会社もあり、本契約を確約するものではありません。つまり、買付申込書は契約書ではなく、あくまで購入の意思を示すための書類となります。
ここでは、買付申込書に記入する項目や、購入金額、手付金の決め方などを見ていきましょう。
買付申込書には何を記入するの?
買付申込書には、購入希望価格や支払い方法、有効期限、手付金の金額などを記載して提出します。決まった書式はありませんが、不動産会社の書式を使用するのが一般的です。
複数から買付申込みがあった場合に、売主が譲渡先を決めるための情報源となります。また、支払い方法として融資を受けることを示す際には、買付申込書に「融資特約あり」と記載します。万が一、融資がつかなかった場合、無条件でキャンセルすることができます。
購入金額や手付金の決め方
買付申込書に記載する購入金額や手付金の金額も、あらかじめ考えておかなくてはなりません。
購入価格の交渉を行いたい場合には、購入希望金額に販売価格よりも安い金額を記入することが可能です。これを、「指値を入れる」といいます。しかし、不相応な金額を記載すると交渉に応じてもらえない可能性もあります。そのため、収益価格や積算価格を参考にするなど、適切な減額理由を記載することが大切です。
また、手付金は、物件購入代金の一部を売買契約時に売主に支払うものです。一般的には、物件価格の3~10%と決められています。手付金は、買主に責任がある場合には手付金の放棄、売主に責任がある場合には倍額を支払うことで契約を解除できるなど、契約不履行があった際の賠償金として使われます。
買付申込後のキャンセルはできる?
買付申込書は契約書ではないので、法的な拘束力はありません。そのため、キャンセルは可能です。しかしながら、安易な理由でのキャンセルは不動産会社の信用を失うため、提出前にしっかりと検討しておくことが大切です。
不動産購入時の融資について
不動産を購入する際、ほとんどの人が融資を受けて住宅ローンを組んで不動産経営を行います。そのため、売買契約を結ぶ前に金融機関と融資の契約を結び、不動産を購入するというのが一連の流れになります。
それでは、実際に融資先をどのように探すのか、融資特約などについても併せて解説します。
融資先の探し方
融資先は、個人の年収によって契約できる金融機関が決まります。年収が低いほど、住宅ローンが組める金額や使用できる金融機関が少なく、金利も高くなる傾向があるため注意が必要です。
反対に、年収が高いほど都市銀行などの金融機関から、低金利で融資が受けられます。また、不動産投資の実績がない場合には、融資先を探すことが難しいため、不動産会社から紹介してもらうのがおすすめです。
融資特約とは?
融資特約とは、融資の契約が成立しなかった場合には、無条件で契約をキャンセルできるというもので、売主と買主の合意のもと、売買契約書に盛り込むことがあります。万が一、融資が受けられなかった場合には、手付金などを無利息で返還し、契約も白紙になります。買主にとっては、リスクを下げるためにも条件として入れておきたい項目です。
融資を受けずに不動産購入する場合
潤沢な資産があり、現金で支払える場合は、融資を受けずに不動産を購入することも可能です。売主にとってもすぐに現金が手に入るため、あらゆる面でメリットの高い条件だといえます。
しかしながら、潤沢な資産が準備できるからこそ、多少の融資を追加して投資できる範囲を広げ、さらなる利益率向上を目指すというのも魅力的な選択肢となるのではないでしょうか。
不動産投資の流れを理解しよう
不動産投資を始めるためには、まずは投資の流れをしっかりと把握し、投資を始めるところから出口戦略まで、しっかりと考えておく必要があります。
経営リスクや返済計画を事前に見据えた上で、不動産投資を始めましょう。