【初心者もわかる】iDeCo(イデコ)の始め方|4つの流れで紹介

節税しながら効率良く老後資金を準備する方法のひとつとして、iDeCo(イデコ)が注目されています。しかし、中には興味はあっても始め方がわからず、iDeCo加入を見送っている方もいるのではないでしょうか。 本記事では、初心者でもわかるようにiDeCoの概要や始め方、手続きを詳しく解説します。

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iDeCo(イデコ)とは

iDeCoとは、自分で金融商品を選んで、毎月一定額の掛金を積み立てて運用する「個人型確定拠出年金」の愛称です。運用益が非課税になるうえ、掛金は全額が所得控除の対象となるなど、節税しながら老後資金を蓄えられます。

魅力的な制度であるため、退職後の老後生活を支える資金づくりのためにiDeCoを始める方が増えています。ただし、iDeCoは公的年金とは異なり、個人が任意で加入する私的年金であるため、iDeCoに加入するには自分で手続きが必要です。

iDeCoの始め方を4つの流れで紹介

国民年金や厚生年金とは違い、iDeCoは自分で申し込み、投資する金融商品と掛金の額を自分で決めなければなりません。

しかし、iDeCoを始めるのは決して難しいことではありません。ここでは、国民年金基金連合会のiDeCo公式サイトをもとに、iDeCoの始め方をシンプルな4ステップで紹介します。

1. iDeCoの加入資格があるか確認する

iDeCoは、20歳から60歳未満までの方なら、会社員や公務員、自営業、専業主婦(夫)など職業の違いにかかわらず、基本的に誰でも加入することが可能です。なお、2022年5月には第2号被保険者(厚生年金加入者)と国民年金の任意加入被保険者の対象年齢が、60歳未満から65歳を迎えるまでに延長されます。

企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している方がiDeCoに加入するには、現在は勤務先の労使の合意が必要ですが、2022年10月に実施されるiDeCo加入の要件緩和によって労使合意が不要になります。

気をつけたいのは、勤務先などによって掛金の限度額に違いが出ることです。iDeCoの加入資格区分は主に国民年金第1号被保険者(自営業者,フリーランス,学生など)、国民年金第2号被保険者(会社員,公務員など)、国民年金第3号被保険者(専業主婦,主夫など)に分かれていて、それぞれ掛金の上限が異なります。

公務員なら掛金の上限額が月1万2千円までと決まっていますが、会社員の場合は企業型DCに加入しているかどうかなどで上限額が変わります。

iDeCoの公式サイトや大手金融機関のサイトには、iDeCoの加入資格や掛金の上限を簡単に診断できるツールがあります。初めての加入を検討中でしたら、一度活用してみてください。

「iDeCo公式サイト」(国民年金基金連合会)

2. 毎月の掛金をいくらにするか決める

iDeCoは毎月5,000円以上1,000円単位で、自分で掛金を設定できます。上限は加入資格区分ごとに異なり、たとえば、自営業なら月額6.8万円、企業型DCに加入中の会社員なら月額2万円です。

節税効果の高い制度であるため、上限額まで掛金を積み立てたいところですが、iDeCoの掛金は原則60歳まで引き出せません。掛金を増やしすぎて生活に負担がかからないよう、無理のない投資をすることが大切です。

掛金は1年に1度だけ変更が可能で、また、いつでも解約できます。ライフプランの変更に応じてiDeCoの掛金が適切かどうか、1年に1度チェックすると良いでしょう。

3. 自分に合った運用商品を選ぶ

iDeCoでは、掛金の額だけではなく、運用する金融商品も加入者自身が選択します。将来受け取る年金が減るリスクもありますが、逆に大きなリターンを得られる可能性もあります。

金融商品にはさまざまな種類がありますが、短期的な収益を目的とした資産運用とは違い、iDeCoは60歳までの長期運用が前提です。運用商品は長期的な視点で選ぶのがポイントとなります。

iDeCoで選べる運用商品は、元本保証型と元本変動型の2種類に分かれます。金融商品に不慣れな方は、以下2種類のメリットとデメリットを把握したうえで、ご自身に合ったタイプからiDeCoの運用商品を選ぶと安心です。

元本保証型(定期預金・保険)

元本保証型とは、原則、iDeCoで積み立てたお金(元本)が満期まで保証されている金融商品のことです。定期預金や保険がこれに当たります。

商品ごとに定められた利息がリターンとなり、大きな成果は望みにくいものの、安全で確実な運用ができます。

元本変動型(投資信託)

元本変動型とは文字どおり、iDeCoの元本が運用成果に応じて変動する金融商品のことです。投資信託がこれに当たります。

投資家から集めた資金を使って、専門家が株式や債券などに投資するのが投資信託です。専門家に運用を一任できるというメリットはありますが、運用結果は市場の動向や世界経済の影響などによって変動します。そのため、大きなリターンを見込める一方で元本割れとなるリスクもあります。

投資信託には投資対象などによって、国内債券型や国内株式型、外国債券型、外国株式型があり、さらに複数の投資対象を組み合わせたバランス型や不動産を投資対象にするREIT(不動産投資信託)などもあります。

タイプによってリスクの大きさ、期待される成果が異なるので、いくつかの運用商品を組み合わせてリスクを分散させるのがおすすめです。また、iDeCoは運用商品を変更することもできますから、ライフプランに応じて商品を切り替えるのも良いでしょう。

4. 口座開設する金融機関を選ぶ

iDeCoの加入申し込みは、国民年金基金連合会の認める金融機関(iDeCo運営管理機関)で行います。2022年1月現在、およそ160もの金融機関がiDeCoを取り扱っています。その中から、自分にあった金融機関を選択しましょう。

注意しなければならないのが金融機関によって取り扱う運用商品が異なることです。興味のある商品の取り扱いがあるかどうか、iDeCoに申し込む前にきちんと確認しておきましょう。

また、手続き方法や資料のわかりやすさ、運用や移管などにかかる各種手数料など、金融機関によってさまざまです。それぞれの金融機関の強みや魅力を見極めて、しっかりと比較検討してから選ぶのがおすすめです。

金融機関で行うiDeCo加入の手続き

iDeCoの運用を開始する前に、金融機関(iDeCo運営管理機関)にて新しくiDeCo専用の口座を開設する必要があります。普段の口座開設とは異なり、いくつか準備が必要です。

ここでは、iDeCoに加入する際に必要な手続きを見ていきましょう。

手続きに必要な準備

iDeCo加入を金融機関に申し込むときには、以下の事前準備をします。

「基礎年金番号」と「引き落とし口座」の確認

iDeCoの申し込みには加入資格を確認するために基礎年金番号が必要です。基礎年金番号は年金手帳やねんきん定期便などに記載されています。会社員で年金手帳が手元にない場合は、会社の総務部などに問い合わせておきましょう。

また、毎月の掛金の引き落としに使う口座情報(銀行名や支店名、口座番号、預金種別、名義人など)を通帳やキャッシュカードで確認しておいてください。

必要書類を用意

次に、iDeCoを申し込む金融機関から加入申出書を入手し、必要事項を記入します。加入申出書は店頭だけではなく、オンラインでも入手可能です。ほかには本人確認書類のコピーと金融機関の届出印を用意しましょう。

会社員や公務員の場合、会社に事業主の証明書を記入してもらう必要があります。

金融機関への申し込み

加入申出書などの必要書類を準備できたら金融機関に提出します。

iDeCoの加入審査は国民年金基金連合会が行うため、手続き完了までには1~2ヶ月ほどかかります。金融機関から口座開設の通知が届いたら、iDeCo加入の手続きは無事完了です。さっそく運用を開始しましょう。

一部の金融機関ではオンラインによる手続きも可能です。オンラインの手続きなら、24時間いつでも空いた時間に手続きできて便利でしょう。

まとめ

iDeCoは、20歳以上60歳未満までの方であれば、原則誰でも加入できる私的年金制度です。

元本保証型や元本変動型などさまざまな運用商品をバランス良く組み合わせて、老後資金の準備として活用しましょう。